
最近つくづく面白いと思うのは、バンド演奏による衝動的かつ躍動的な要素と、デジタル機器から生まれた緻密で頭脳的な要素を兼ね備えたグループだ。その好例として存在するのが3人組のメトロノミー。10代前半からインディーズ系のロックを演奏していたが、次第にプログラミングを駆使したエレクトロニック・ミュージックへと興味が広がり、今では双方の楽器演奏をミックスして曲を構築している。
なかでも中心人物のジョセフ・マウントは、オウテカやエイフェックス・ツインなどから影響を受けながら、クラクソンズ、フランツ・.フェルディナンドなどのリミックスを手掛けて有名になっていて、そう聞くだけで彼らのセンスの良さがわかるというもの。イギリス国外からも注目されていて、最新作『ナイツ・アウト』はフランスのレーベルからリリースとなった。
今年1月に初来日したメトロノミーに取材した時、ジョセフは次のようなことを話していた。
「人間味のあるバンド演奏と比較すると、エレクトロニック・ミュージックはクリーンで正確だ。でも、僕らはサウンドの層の中で音程の調整を変えるなどして敢えて崩している。それが他にないメトロノミズムのユニークさだと思う。実際、僕らはジャンルを否定はしなけど、テクノとかハウスとか型にはまった音楽を作ろうとは思っていないしね。アクシデントや実験を楽しみながら、独自の音楽を探求しているんだ」
最新作『ナイツ・アウト』ではシンセ風ドラムビートを基盤とし、そこに個性の強いサウンドをレイヤーのように重ねていく。どこか捩れたような屈折した感覚とノリのよいビートが絡み合う、クセになる音楽を展開する。3人ともSFが大好きだといい、アルバム『ナイツ・アウト』のイメージも、「映画『ブレードランナー』のイギリスの地方都市バージョンで、雨が降っていて風景がグレーな色彩の街で、ユートピアの逆のディストーピアのような感じ」と説明する。
そして、そんなヴィジュアルをイメージしながら完成した作品だけに、ライヴ・パフォーマンスもユニークだ。1月の公演ではギターとキーボード、サックスとキーボードというように全員が1人2役を受け持つだけでなく、叩くと点灯する円状の照明を各自が胸からぶら下げて暗闇と光の交錯を演出。海外では4人編成の女性ダンス・グループが参加することもあるといい、できればサマーソニック09ではより本格的なパフォーマンスを見たいところ。独自のスタイルを追求する新進のバンドが、大舞台でどんな頭脳的かつ肉体的なパフォーマンスを見せてくれるのか期待していたい。
(伊藤 なつみ)

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